気と身体は適度に使い続ける
あなたの「適度」を知るのが大事──
物でさえ、適度に使った方が長持ちする。人間の気と身体はなおさらだ。そして、人間の「適度」は、歳とともに変わる。
筋肉は動かさなければ弱くなる。関節も使わなければ硬くなる。心肺機能も刺激が無ければ落ちていく。そして、それは目に見える身体だけではない。気力、集中力、好奇心、判断力、人との関わり方まで、使わなければ少しずつ錆びついていく。
だからこそ、人間には「適度に使い続ける」という発想が大切なのである。
もちろん、酷使しろという話ではない。
限界まで働き、限界まで運動し、限界まで我慢する。それでは身体も心も壊れてしまう。現代人はむしろ、使い過ぎによる消耗に悩んでいる人も多い。
しかし逆に、疲れるのが嫌だからと何もしなくなると、今度は衰えという別の問題が現れる。
動かないから動けなくなる。
考えないから考えられなくなる。
人と会わないから、人付き合いが億劫になる。
挑戦しないから、自信も失われていく。
これは武術でも同じである。
20年以上続けてきて感じるのは、強さとは一時的な爆発力ではなく、「気と身体を長く使い続けられる状態」だということだ。
本当に強い人は、毎日少しずつ身体を整え、少しずつ呼吸を深め、少しずつ感覚を磨き続けている。無理はしない。しかし止めもしない。
流れ続ける川の水が濁らないように、気もまた循環している方が健全なのだろう。
逆に、感情を溜め込み、身体を固め、家に閉じこもり、何も挑戦しない生活を続けると、まるで池の水が淀むように、心身にも停滞感が生まれてくる。
日本語には「気枯れ」という言葉がある。
気が枯れると書くが、その原因の一つは、気を使わなくなることなのかもしれない。
少し歩く。
少し学ぶ。
少し笑う。
少し身体を動かす。
少し人と話す。
その小さな積み重ねが、気を巡らせ、身体を生かし続ける。
歳を重ねても元気な人を見ていると、共通しているのは特別な才能ではない。毎日、無理のない範囲で、自分の気と身体を使い続けていることである。
人間は、壊れやすい存在であると同時に、適度に使われることで磨かれ、育っていく存在でもある。
だから今日も、頑張り過ぎる必要はない。
ただ少しだけ、あなたの「適度」に合わせて気と身体を動かしてあげよう。
その小さな一歩が、未来の健康と活力を静かに育てていくのである。
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