能率差異|50代の資格挑戦・学習記録 #72
予定より短い時間で作れたか──
今回学んだのは、製造間接費差異のうち「能率差異」である。
前回は、実際操業度と基準操業度の違いから生じる「操業度差異」を学んだ。
今回は、製品を作るために本来必要とされる標準的な作業時間と、実際にかかった作業時間との差に注目する。
予定より少ない時間で作れれば効率が良かったことになり、反対に時間がかかりすぎれば非効率だったことになる。
この作業効率の違いによって生じる製造間接費の差異が「能率差異」である。
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😸能率差異とは
たとえば、製品1個を作るための標準直接作業時間が3時間だったとする。
製品10個を作るなら、本来必要な直接作業時間は、
3時間 × 10個 = 30時間
となる。
ところが、工員の作業能率が低下したことなどによって、実際には40時間かかってしまうこともある。
本来30時間でできるはずの仕事に40時間かかったのであれば、10時間分余計に製造間接費が発生することになる。
このように、作業能率の違いによって発生する製造間接費のムダなどを「能率差異」という。
能率差異は、
能率差異
=標準配賦率×(標準操業度−実際操業度)
で求める。
標準配賦率は、
標準配賦率=変動費率+固定費率
である。
したがって、
標準操業度 > 実際操業度
ならプラスとなり「有利差異(貸方差異)」、
標準操業度 < 実際操業度
ならマイナスとなり「不利差異(借方差異)」となる。
つまり、本来かかるはずだった時間より短い時間で生産できれば有利、本来より時間がかかれば不利と考えるとわかりやすい。
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😸標準操業度を求める
能率差異を計算するには、まず「標準操業度」が必要になる。
標準操業度は、標準直接作業時間を求めるときと同じように、
製品1個あたりの標準操業度×当月投入量(完成品換算量)
で求める。
CASE 66では、
製品1個あたりの標準直接作業時間:3時間
当月投入量(完成品換算量):110個
なので、
3時間×110個=330時間
となる。
したがって、標準操業度は330時間である。
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😸CASE 66の能率差異
CASE 66では、
標準配賦率:@30円
標準操業度:330時間
実際操業度:250時間
なので、
@30円×(330時間−250時間)
=2,400円(有利差異)
となる。
330時間かかる予定だったところを、実際には250時間で生産できた。
予定より80時間も少ない時間で作業できたため、2,400円の有利差異となるわけである。
図を書くときには、
標準操業度 → 実際操業度 → 基準操業度
の順に左から並べる。
CASE 66では、
標準操業度:330時間
実際操業度:250時間
基準操業度:350時間
なので、数値だけを見れば250時間の実際操業度が一番左に来そうに思える。
しかし、差異分析の図では数値の大小にかかわらず、
左から「標準・実際・基準」
の順に記入する。
ここは計算だけでなく、図を書く問題でも注意しておきたい。
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😸能率差異を2つに分ける
能率差異は、さらに、
* 変動費能率差異
* 固定費能率差異
の2つに分けて分析することもある。
標準配賦率は「変動費率+固定費率」なので、能率差異についても変動費部分と固定費部分に分解できるということである。
変動費能率差異は、
変動費能率差異
=変動費率×(標準操業度−実際操業度)
固定費能率差異は、
固定費能率差異
=固定費率×(標準操業度−実際操業度)
で求める。
CASE 66では、
変動費率:@10円
固定費率:@20円
標準操業度:330時間
実際操業度:250時間
なので、
変動費能率差異
=@10円×(330時間−250時間)
=800円(有利差異)
固定費能率差異
=@20円×(330時間−250時間)
=1,600円(有利差異)
となる。
この2つを合計すると、
800円+1,600円=2,400円
となり、先ほど標準配賦率@30円を使って求めた能率差異と一致する。
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😸製造間接費の差異分析を整理する
ここまで学んできた製造間接費の差異分析を整理すると、次のようになる。
製造間接費差異(総差異)
=標準製造間接費−実際発生額
そして、その中身を分析していく。
予算差異
=予算許容額−実際発生額
操業度差異
=固定費率×(実際操業度−基準操業度)
能率差異
=標準配賦率×(標準操業度−実際操業度)
さらに能率差異を分ける場合は、
変動費能率差異
=変動費率×(標準操業度−実際操業度)
固定費能率差異
=固定費率×(標準操業度−実際操業度)
となる。
予算差異は「予算と実際のズレ」、
操業度差異は「設備などをどの程度利用したかによるズレ」、
能率差異は「標準時間と実際時間のズレ」
と考えると、それぞれの意味を区別しやすい。
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😸三分法と四分法
製造間接費差異の分析方法には「三分法」と「四分法」がある。
能率差異を、
* 変動費能率差異
* 固定費能率差異
の2つに分けて分析する方法が「四分法」である。
つまり、
四分法
予算差異
操業度差異
変動費能率差異
固定費能率差異
の4つに分ける。
一方、能率差異を2つに分けず、
三分法
予算差異
操業度差異
能率差異
の3つに分ける方法もある。
ただし、この三分法には注意が必要である。
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😸三分法には2つの考え方がある
三分法では、能率差異をどこまで含めるかによって2つの方法がある。
ひとつは、
「能率差異は変動費部分と固定費部分からなるものとする」
という方法。
この場合は、
能率差異
=標準配賦率×(標準操業度−実際操業度)
となる。
標準配賦率には変動費率と固定費率の両方が含まれているため、変動費能率差異と固定費能率差異をまとめて「能率差異」として把握する。
このとき操業度差異は、
操業度差異
=固定費率×(実際操業度−基準操業度)
となる。
もうひとつは、
「能率差異は変動費部分からなるものとする」
という方法である。
この場合、能率差異として把握するのは変動費部分だけとなり、固定費能率差異は操業度差異に含める。
したがって、
能率差異
=変動費率×(標準操業度−実際操業度)
となる。
そして操業度差異は、
操業度差異
=固定費率×(標準操業度−基準操業度)
となる。
ここでは通常の操業度差異で使っていた「実際操業度」が「標準操業度」に変わる点に注意したい。
試験では、
「能率差異は変動費部分と固定費部分からなるものとする」
あるいは、
「能率差異は変動費部分からなるものとする」
といった指示がつくので、その指示を確認してから計算する必要がある。
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😸今回のまとめ
能率差異は、標準操業度と実際操業度との差から、作業効率によって生じた製造間接費の差を分析するものである。
基本となる式は、
能率差異
=標準配賦率×(標準操業度−実際操業度)
CASE 66では、
@30円×(330時間−250時間)=2,400円
となり、予定より短い時間で生産できたため有利差異となった。
また、能率差異は、
変動費能率差異:800円
固定費能率差異:1,600円
に分けることもできる。
ここまで学んできた予算差異、操業度差異、そして今回の能率差異によって、製造間接費の差異が「なぜ発生したのか」をより細かく見ることができるようになった。
単に「実際の費用が予定より多かった、少なかった」で終わるのではなく、
予算そのものに原因があったのか、
操業度に原因があったのか、
作業効率に原因があったのか。
数字のズレを原因別に分解していく。
製造間接費の差異分析の全体像が、ようやくつながってきた。
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