シャアザクはどっち?|50代の資格挑戦・学習記録 #22

機動戦士ガンダム の世界を工業簿記で考えると、こんな感じになる。

ガンダム(RX-78-2)

完全に個別原価計算だ。

* 試作機
* 一機しか存在しないワンオフ機
* 特殊な部品や技術を使用
* 製造ごとに原価を個別集計

まさに「製造指図書 No.RX-78-2」で原価計算表を作るイメージといえる。



ザクⅡ(一般兵用)

こちらは典型的な総合原価計算。

* 同じ仕様の機体を大量生産
* 同じ工程を繰り返す
* 一定期間の総原価を生産台数で割る

自動車工場や家電工場に近い。



シャア専用ザク(MS-06S)

これが微妙で面白いところ。

もし、

* 赤く塗装しただけ
* スラスターの微調整程度

なら、基本は量産型ザクと同じなので、総合原価計算+追加改造費の個別管理だろう。

一方、

* エンジンを別物に変更
* 内部構造を大幅改修
* 専用OSや専用部品を多数使用

なら、もはや個別原価計算に近い特注機になる。



現実の製造業でもこれに近いケースがある。

例えば、同じ車種でも、

* 標準車 → 総合原価計算
* パトカー仕様
* 福祉車両仕様
* レース用特別仕様

になると、ベース車は量産でも、追加部分は受注ごとに原価を集計する。

簿記2級的には、

ベース部分は総合原価計算、特注部分は個別原価計算

という「ハイブリッド」が最もしっくりくる。

シャア専用ザクは、「量産機の皮を被ったセミオーダーメイド機」というのが工業簿記的な結論かもしれない。

という訳で、今回学んだのは「個別原価計算」である。

これまで学んできた工業簿記では、材料費や労務費、経費をどのように集計し、製品の原価を求めるかを学んできた。しかし、製品原価の計算方法は、どのようなものを作る会社なのかによって変わることを知った。

今回登場したのは「受注生産」という形態である。

受注生産とは、顧客から注文を受けてから製品を作る生産方法だ。いわゆるオーダーメイドである。

例えば、注文住宅、特注機械、大型船舶などは、すべて同じものを大量に作るわけではない。それぞれ顧客の要望が異なり、必要な材料や作業内容も変わってくる。

そのため、「今月はいくらかかったのか」という全体の原価だけでは不十分になる。

受注生産を行う会社では、営業部が顧客から注文を受けると、「製造指図書」という書類を発行する。簡単に言えば、「こんな製品を、このように作ってください」という製造命令書である。

工場はその製造指図書にもとづいて製造を開始する。そして、製造指図書ごとに、どれだけ材料を使い、どれだけ人が働き、どれだけ経費がかかったのかを集計していく。

その集計に使われるのが「原価計算表」であり、製造指図書ごとに製品原価を計算する手続きを「個別原価計算」という。

この考え方は、武術の指導にも少し似ていると感じた。

初心者、高齢者、競技選手では、同じ稽古内容をそのまま当てはめることはできない。それぞれの目的や身体の状態に合わせて、必要な練習内容や負荷を変えていく必要がある。

一人ひとりに合わせて個別に組み立てる。だからこそ、何にどれだけ時間や労力を使ったのかを把握することが大切になる。

工業簿記もまた、製品の作り方に応じて、最適な原価の捉え方を選んでいる。数字を計算するだけではなく、実際のものづくりの姿に合わせて仕組みを作っているところに面白さを感じた。

武術もモビルスーツも、人も製品も、同じ型を大量生産する場合と、一つひとつ個別最適化する場合では、考え方が変わる。工業簿記とは、ものづくりの思想を数字で表現する学問なのかもしれない。

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