経費を消費したら?|50代の資格挑戦・学習記録 #21
簿記の雑学|DebitとCreditの語源
デビットカードの「Debit」は、簿記の「借方(Debit)」と同じ言葉。ラテン語の debere(負う・支払う義務がある)が語源である。
一方、クレジットカードの「Credit」は credere(信じる・信用する)が語源。「後で支払ってくれると信用する」という考え方が、そのまま名前になっている。
簿記を学ぶと、普段何気なく使っている言葉の背景まで見えてくるのが面白い。
さて本題。
今回学んだのは、経費を消費したときの処理である。
面白いことに、同じ経費であっても、どの勘定を使うかによって処理方法はいくつも存在する。
前回までの学習で、工業簿記では製品を作るためにかかった原価を材料費・労務費・経費に分類することを学んだ。しかし、経費は材料費や労務費と違い、そのまま一つの形で処理するとは限らない。同じ取引であっても、どの勘定を使うかによって仕訳の形が変わる。
今回のケースでは、まず外注加工賃800円を現金で支払った。外注加工賃とは、製品の一部の加工を外部の業者へ依頼したときに支払う費用だ。特定の製品のために直接発生する費用なので、「直接経費」として扱う。
また、工場建物の減価償却費も計上する。1年間の減価償却費は1,200円と与えられているため、1か月分を計算すると100円になる。
1,200円 × 1か月 ÷ 12か月 = 100円
工場建物は工場全体で使用するものであり、特定の製品だけのために存在するわけではない。そのため、こちらは「間接経費」として扱われる。
試験でよく出題されるのは、「経費の諸勘定を用いない方法」である。この方法では、直接経費は最初から仕掛品勘定で処理し、間接経費は製造間接費勘定で処理する。
外注加工賃の支払いは、
(仕掛品)800 (現金)800
工場建物の減価償却費は、
(製造間接費)100 (減価償却累計額)100
となる。
最初は「経費なのに、なぜ経費勘定を使わないのだろう」と不思議に感じた。しかし考えてみれば、直接経費は最終的に仕掛品へ集められ、間接経費は製造間接費へ集められる。最初からその勘定へ入れてしまえば、一手間省けるということなのだろう。
一方で、経費勘定を用いる処理方法もある。この場合、直接経費も間接経費も、いったん経費勘定で受け止める。
(経費)800 (現金)800
(経費)100 (減価償却累計額)100
そして、その後に振り替えを行う。
(仕掛品)800 (経費)800
(製造間接費)100 (経費)100
さらに、「経費の諸勘定」を用いる方法もある。この場合は、外注加工賃や減価償却費など、それぞれの費用ごとに専用の勘定を使う。
(外注加工賃)800 (現金)800
(減価償却費)100 (減価償却累計額)100
そして、直接経費は仕掛品へ、間接経費は製造間接費へ振り替える。
(仕掛品)800 (外注加工賃)800
(製造間接費)100 (減価償却費)100
結局のところ、最終的な行き先は同じである。直接経費は仕掛品へ、間接経費は製造間接費へ集められる。その途中で、経費勘定を経由するのか、さらに細かい経費ごとの勘定を使うのかという違いがあるだけだ。
武術でも、目的地が同じなら、そこへ至る道筋はいくつか存在する。遠回りに見える方法にも、途中経過を分かりやすくしたり、管理しやすくしたりする意味がある。
工業簿記の勉強をしていると、数字を記録しているだけではなく、「どのように整理し、管理しやすくするか」という考え方そのものを学んでいるように感じる。
五十歳を過ぎてから新しい分野を学び始めたが、こうして物事の見方そのものが広がっていくのが実に面白い。
なお、外注先へ材料を無償で支給した場合には、材料を消費したものとして処理する。例えば、塗装を外部へ依頼し、原価100円の材料10kgを無償で渡した場合には、
(仕掛品)100 (材料)100
と仕訳する。
材料を外へ渡したからといって、材料費ではなくなるわけではない。製品を作るために使われたのであれば、それは直接材料の消費として考える。このあたりの考え方にも、工業簿記の一貫性を感じた学習だった。
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