損益計算書|50代の資格挑戦・学習記録 #76
同じ売上でも、原価の考え方で利益が変わる──
今回学んだのは、全部原価計算と直接原価計算における損益計算書の違いである。
前回は、直接原価計算では原価を「変動費」と「固定費」に分けて考えることを学んだ。
今回は実際に損益計算書を作成し、全部原価計算と直接原価計算で利益がどのように変わるのかを見ていく。
ポイントになるのは、固定製造原価を製品原価に含めるかどうかである。
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😸CASE 69 全部原価計算と直接原価計算
今回の生産・販売データは次のとおり。
期首仕掛品:0個
当期投入:50個
期末仕掛品:0個
当期完成品:50個
また、
期首製品:0個
当期完成品:50個
期末製品:10個
当期販売:40個
となっている。
つまり、50個を生産して、そのうち40個を販売し、10個が期末製品として残っている。
販売単価は1個あたり200円なので、
売上高
=@200円×40個
=8,000円
となる。
原価データは、
変動費
直接材料費:@20円
加工費(変動費):@30円
変動販売費:@10円
固定費
加工費(固定費):1,200円
固定販売費・一般管理費:900円
である。
このデータを使って、まず全部原価計算による損益計算書を作成する。
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😸全部原価計算の損益計算書
全部原価計算では、製品の製造にかかった原価をすべて製品原価として計算する。
したがって、
直接材料費
変動加工費
固定加工費
のすべてが製品原価に含まれる。
直接材料費は、
@20円×50個=1,000円
変動加工費は、
@30円×50個=1,500円
固定加工費は、
1,200円
なので、当期完成品50個の製造原価は、
1,000円+1,500円+1,200円
=3,700円
となる。
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😸期末製品原価を計算する
50個完成したうち、40個を販売して10個が期末製品として残っている。
完成品50個の原価が3,700円なので、期末製品10個の原価は、
3,700円÷50個×10個
=740円
となる。
したがって売上原価は、
3,700円-740円
=2,960円
である。
売上高8,000円から売上原価2,960円を差し引くと、
売上総利益
=8,000円-2,960円
=5,040円
となる。
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😸販売費及び一般管理費を差し引く
変動販売費は1個あたり10円なので、
@10円×40個=400円
である。
さらに固定販売費及び一般管理費900円が発生しているため、
販売費及び一般管理費
=400円+900円
=1,300円
となる。
したがって、全部原価計算による営業利益は、
5,040円-1,300円
=3,740円
となる。
まとめると、
損益計算書(全部原価計算)
Ⅰ.売上高 8,000円
Ⅱ.売上原価 2,960円
売上総利益 5,040円
Ⅲ.販売費及び一般管理費 1,300円
営業利益 3,740円
となる。
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😸直接原価計算の損益計算書
次は直接原価計算である。
直接原価計算では、売上原価(製造原価)と販売費及び一般管理費を変動費と固定費に分ける。
そして、
変動製造原価(直接材料費+変動加工費)のみを製品原価とする。
ここが全部原価計算との大きな違いである。
今回の製品1個あたりの変動製造原価は、
直接材料費@20円+変動加工費@30円
なので、
@50円
となる。
50個完成しているため、
@50円×50個=2,500円
が当期完成品の原価となる。
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😸変動売上原価を計算する
完成品50個のうち10個が期末製品として残っている。
したがって期末製品原価は、
2,500円÷50個×10個
=500円
となる。
変動売上原価は、
2,500円-500円
=2,000円
である。
または、販売した40個に1個あたりの変動製造原価50円を掛けて、
@50円×40個=2,000円
と計算してもよい。
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😸変動製造マージン
直接原価計算では、売上高から変動売上原価を差し引いた金額を**「変動製造マージン」**という。
今回の場合、
売上高8,000円-変動売上原価2,000円
=変動製造マージン6,000円
となる。
全部原価計算では「売上総利益」を計算していたところを、直接原価計算ではまず変動製造マージンを計算するわけである。
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😸貢献利益
次に、変動製造マージンから変動販売費を差し引く。
変動販売費は、
@10円×40個=400円
なので、
変動製造マージン6,000円-変動販売費400円
=貢献利益5,600円
となる。
この貢献利益は、直接原価計算を理解するうえで重要な数字である。
売上から、その売上にともなって増減する変動費をすべて差し引いたあとに残る利益であり、ここから固定費を回収していくことになる。
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😸固定費を差し引く
最後に貢献利益から固定費を差し引く。
今回の固定費は、
固定製造原価:1,200円
固定販売費及び一般管理費:900円
なので、
固定費合計
=1,200円+900円
=2,100円
となる。
したがって営業利益は、
貢献利益5,600円-固定費2,100円
=3,500円
である。
直接原価計算による損益計算書は、
損益計算書(直接原価計算)
Ⅰ.売上高 8,000円
Ⅱ.変動売上原価 2,000円
変動製造マージン 6,000円
Ⅲ.変動販売費 400円
貢献利益 5,600円
Ⅳ.固定費 2,100円
1.固定製造原価 1,200円
2.固定販売費及び一般管理費 900円
営業利益 3,500円
となる。
なお、直接原価計算では固定製造原価は製品原価に含めず、発生額1,200円をそのまま固定費として計上する。
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😸なぜ営業利益が違うのか?
ここで興味深いのが、同じ会社の同じ期間を計算しているにもかかわらず、
全部原価計算:営業利益3,740円
直接原価計算:営業利益3,500円
と、営業利益が異なっていることである。
差額は、
3,740円-3,500円=240円
である。
これは、固定製造原価の扱いが違うためである。
全部原価計算では、固定製造原価1,200円を50個の製品に配賦している。
したがって製品1個あたり、
1,200円÷50個=24円
の固定製造原価が含まれている。
今回は10個が期末製品として残っているため、
@24円×10個=240円
の固定製造原価が期末製品の中に残る。
つまり全部原価計算では、固定製造原価1,200円のうち240円が当期の費用にならず、棚卸資産として翌期へ繰り越される。
一方、直接原価計算では固定製造原価1,200円を全額、当期の固定費として処理する。
この違いによって、
全部原価計算の営業利益3,740円
-直接原価計算の営業利益3,500円
=240円
という差が生まれている。
数字がきれいにつながった。
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😸今回の学び
全部原価計算と直接原価計算では、単に損益計算書の表示方法が違うだけではない。
最大の違いは、固定製造原価を製品原価に含めるかどうかである。
全部原価計算では、
変動製造原価+固定製造原価=製品原価
として考える。
一方、直接原価計算では、
変動製造原価のみ=製品原価
として、固定製造原価はその期間に発生した固定費として処理する。
そして直接原価計算では、
売上高
↓
変動売上原価を差し引く
↓
変動製造マージン
↓
変動販売費を差し引く
↓
貢献利益
↓
固定費を差し引く
↓
営業利益
という流れで利益を計算する。
特に「貢献利益」という考え方は、売上が固定費の回収と利益獲得にどれだけ貢献しているのかを見るための重要な指標になる。
今回の例では、期末製品10個に含まれる固定製造原価240円が、そのまま全部原価計算と直接原価計算の営業利益の差になった。
全部原価計算と直接原価計算。
同じ8,000円の売上から出発しているのに、固定費をどこで費用にするかによって利益が変わる。
直接原価計算の仕組みが、少しずつ見えてきた。
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