予定消費単価を用いた時の月末処理|原価計算・簿記学習 #11
予定はあくまで予定である──
武術でも、稽古や組手の前にある程度の想定を立てる。しかし実際に動いてみると、想定通りにならないことは珍しくない。工業簿記における「予定消費単価」も同じだと感じた。
前回学んだ予定消費単価は、材料価格の変動に左右されず、安定した原価計算を行うための仕組みである。材料を消費した時点では、実際の購入単価ではなく、あらかじめ決めておいた予定消費単価を使って材料費を計算する。
しかし現実の材料価格は常に変動している。そのため、月末には実際にどれだけ材料費がかかったのかを計算し直し、予定とのズレを調整しなければならない。
今回のケースでは、直接材料80枚を消費した。
予定消費単価は1枚12円なので、
予定消費額=12円×80枚=960円
となる。
一方、平均法などを用いて実際の消費額を計算すると、
実際消費額=14円×80枚=1,120円
だった。
つまり帳簿上では960円しか材料費を計上していないが、実際には1,120円かかっている。材料費が160円不足している状態である。
そこで月末に、
材料消費価格差異 160 / 材料 160
という仕訳を行う。
これは実際より少なく計上されていた材料費を160円増やすための処理である。
この160円は、予定消費単価と実際消費単価の差から生じた金額なので、「材料消費価格差異」という勘定科目を使う。
会社から見ると、本来12円で済むと見込んでいた材料が実際には14円かかっていたことになる。予定より材料費が多く発生しているため、これは好ましくない状態である。
このような差異を「不利差異」という。
また、材料消費価格差異勘定の借方に記入されるため、「借方差異」と呼ばれることもある。
つまり、
予定消費額<実際消費額
ならば不利差異(借方差異)となる。
最初は借方差異や貸方差異という言葉に戸惑ったが、差異は費用のようなものだと考えると理解しやすい。費用が借方に増えれば会社にとって不利だからである。
逆に、実際の材料価格が予定より安かった場合はどうなるだろうか。
例えば、
予定消費額=12円×80枚=960円
実際消費額=11円×80枚=880円
だったとする。
この場合、予定より80円少ない材料費で済んでいる。
差額は、
(12円-11円)×80枚=80円
である。
このときの仕訳は、
材料 80 / 材料消費価格差異 80
となる。
材料消費価格差異が貸方に発生しているため、これは「貸方差異」である。
そして予定より費用が少なく済んだ会社にとって良い状態なので、「有利差異」と呼ばれる。
つまり、
予定消費額>実際消費額
ならば有利差異(貸方差異)となる。
学習していて面白かったのは、差異を計算する際のルールである。
消費単価を比較するときは、実際の単価が高くても低くても、必ず予定消費単価を内側に書く。そして、
予定-実際
で計算する。
結果がマイナスになれば不利差異、プラスになれば有利差異と機械的に判断できる。
武術でも形や基本動作を統一することで間違った動きを減らす。同じように簿記でも、計算手順を統一することでミス無く正確に処理できるようになっているのだろう。
予定消費単価は計算を効率化するための仕組みである。しかし最終的には現実の数字に合わせる必要がある。そのズレを調整するのが材料消費価格差異であり、有利差異と不利差異の考え方なのだと理解できた。
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