武術家が挑む資格試験|簿記2級・工業簿記 #12

予定と現実のズレは必ず生じる──

武術においてどれだけ稽古を積んでも、自由組手が完全に想定通りに進むことはない。だからこそ、終わった後には必ず振り返りを行い、何が良くて何が悪かったのかを確認する。工業簿記における「予定消費単価」の処理も、最後には必ず現実とのズレを清算することになる。

これまで学んできたように、材料を消費した時点では、実際の材料単価ではなく、あらかじめ決めておいた予定消費単価を使って材料費を計算する。その結果、実際の材料価格との差額として「材料消費価格差異」が発生する。

この差異は月末ごとに計上されるが、それで終わりではない。会計年度末には、その残高を「売上原価勘定」に振り替える処理を行う。

今回のケースでは、材料消費価格差異が借方に160円計上されていた。これは不利差異である。予定よりも実際の材料費が高かったことを意味している。

この場合、借方にある材料消費価格差異を減らすために貸方へ記入し、その相手勘定として売上原価を借方に計上する。

(売上原価)160 (材料消費価格差異)160

売上原価は費用の勘定なので、借方に記入されれば費用が増加する。つまり、不利差異が発生した分だけ、最終的な売上原価も増えることになる。

反対に、材料消費価格差異が貸方残高であった場合は、有利差異である。例えば80円の有利差異が発生していたなら、仕訳は次のようになる。

(材料消費価格差異)80 (売上原価)80

この場合は売上原価が貸方に計上されるため、費用が減少する。予定よりも実際の材料費が安く済んだ分だけ、最終的な原価も小さくなるのである。

この考え方は組手の検証にも似ている。想定ほどに技が出せなかったのであれば、その原因を認識して次へ活かさなければならない。逆に、想定以上に良い結果が出たのであれば、その要因を把握し、再現できるようにする。予定と現実の差を無視してしまえば、成長も改善も生まれない。

また今回は、材料副費についても学んだ。

材料副費とは、材料の購入から出庫までに発生した付随費用のことである。例えば、材料を引き取るための運賃は「外部材料副費」、材料を保管したり検査したりする費用は「内部材料副費」に分類される。

これらの費用も材料の購入原価に含めて処理する。しかし、特に内部材料副費は材料の入庫後に発生するため、金額の集計が遅れやすい。そこで、あらかじめ決めておいた予定配賦率を使い、先に材料副費を計算する方法が用いられる。

例えば、1,000円分の材料を購入し、材料副費を購入代価の1%と予定していた場合、材料副費は10円となる。

そのため、材料勘定には1,010円が計上され、材料副費10円は専用の勘定科目で処理される。

しかし、ここでも予定と現実のズレは発生する。

予定配賦額が10円で、実際に発生した材料副費が15円だった場合、差額5円は不利差異となる。このときは材料副費差異を借方に計上する。

反対に、実際発生額が9円であれば、差額1円は有利差異となり、材料副費差異を貸方に計上する。

工業簿記を学んでいると、「予定を立てること」と「最後に現実との差を調整すること」は常にセットなのだと感じる。予定だけでも駄目で、現実だけを追いかけても駄目。その両方を見て、差異を認識し、修正していく。

それは数字の世界だけではなく、武術や人生そのものにも通じる考え方なのかもしれない。

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