武術家が学ぶ予定消費単価|原価計算・簿記学習 #10
同じ材料でも原価が変わる──
工業簿記を学んでいると、「正確に計算すること」と「素早く計算すること」は同時に成し得ないこともあると分かってくる。今回学んだのは「予定消費単価」という考え方だ。
これまで学習してきた材料費の計算では、実際に購入した材料の単価を使って消費額を計算していた。しかし現実には、材料の購入価格は常に変動する。同じ木材であっても、購入した時期によって価格が異なることは珍しくない。
そのため、同じ製品を同じ材料で作っているにもかかわらず、材料の購入時期の違いによって、材料費が変わってしまうことがある。
さらに、総平均法などを用いて消費単価を計算する場合は、一定期間が終了しなければ正確な単価を求めることができない。その結果、材料費の計算や原価管理が遅れてしまうという問題も生じる。
そこで用いられるのが「予定消費単価」である。
予定消費単価とは、あらかじめ決めておく材料の消費単価のことだ。通常は期首に設定され、その単価を基準として材料費を計算していく。
実際の購入価格が変動していても、日々の原価計算では予定消費単価を使うことで、迅速かつ安定した管理が可能になる。
今回のケースでは、直接材料として80枚の材料を消費したとする。そして予定消費単価は1枚あたり12円とされている。
この場合の材料費は、
材料費=予定消費単価×実際消費数量
によって求められる。
計算すると、
12円×80枚=960円
となる。
したがって、材料費として計上される金額は960円である。
仕訳は次のようになる。
(仕掛品)960 (材料)960
直接材料として使用されたため、材料勘定から960円分が減少し、その金額が仕掛品勘定へ振り替えられる。
今回学んでいて興味深かったのは、「必ずしも実際の金額だけを使うわけではない」という点である。武術でも、いつも型通り動けることなどあり得ない。だからこそ基本姿勢や基準となる動作を確立しておき、それを軸に臨機応変に対応する。
工業簿記の予定消費単価も、それに少し似ているように感じた。実際の価格変動に左右されるのではなく、まず基準となる単価を定めて管理する。そして後で実際との差を調整するのである。
まずは管理しやすい基準を作る。
これは武術にも原価計算にも共通する考え方なのかもしれない。
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