損益分岐点の売上高|50代の資格挑戦・学習記録 #78

いくら売れば赤字ではなくなるのか──

今回学んだのは、CVP分析と「損益分岐点の売上高」である。

前回までは、直接原価計算と全部原価計算の違いや、固定費調整について学んできた。

ここからは直接原価計算を利用して、原価・生産販売量・利益の関係を分析していく。

その第一歩となるのが、

「営業利益がちょうど0円になる売上高はいくらか?」

を求める損益分岐点の計算である。



😸CVP分析とは

原価(Cost)、生産・販売量(Volume)、利益(Profit)の関係から、

「製品をいくつ生産・販売すると、原価がどれだけかかり、利益がいくらになるのか」

を明らかにするための分析を**「CVP分析」**という。

Cost・Volume・Profitの頭文字を取って「CVP」である。

CVP分析では、

* 損益分岐点の売上高
* 目標営業利益を達成するための売上高
* 目標営業利益率を達成するための売上高
* 安全余裕率

などを計算することができる。

つまりCVP分析を使えば、

「最低いくら売れば赤字にならないのか」

「目標とする利益を得るには、いくら売ればいいのか」

といったことが数字で見えてくる。

今回は、その基本となる「損益分岐点の売上高」を計算していく。



😸損益分岐点の売上高とは

「損益分岐点の売上高」とは、営業利益がちょうど0円になる、つまり損失も利益も出ないときの売上高をいう。

売上高が損益分岐点より少なければ「損失」。

損益分岐点を超えれば「利益」が発生する。

グラフで見ると、売上高と原価が交わるところが「損益分岐点」である。

ここを境に、

損失 → 利益

へと切り替わるわけだ。



😸CASE 71の予算データ

N(株)の次期の予算データは次のとおり。

販売単価は、

@200円

である。

変動費

①直接材料費 @20円
②加工費(変動費) @30円
③変動販売費 @10円

したがって、製品1個あたりの変動費は、

@20円+@30円+@10円
=**@60円**

となる。

なお、CVP分析を行う際の損益計算書では、変動製造原価と変動販売費をまとめて**「変動費」**とする。

固定費

①加工費(固定費) 1,200円
②固定販売費・一般管理費 900円

したがって固定費は、

1,200円+900円
=2,100円

となる。

この数字を使って、損益分岐点の売上高を2通りの方法で求めていく。



😸損益分岐点の売上高を計算しよう!……その①

まずは、損益分岐点における**販売量をX(個)**として計算する。

損益分岐点では営業利益が0円なので、販売量をX個、営業利益を0円とした直接原価計算の損益計算書を作る。

売上高は、

@200円×X個
=200X

変動費は、

@60円×X個
=60X

したがって貢献利益は、

200X−60X
=140X

となる。

ここから固定費2,100円を差し引いた営業利益が0円になればよい。

したがって、

140X−2,100=0

となる。

これを解くと、

140X=2,100

X=15個

となる。

つまり、損益分岐点となる販売量は15個である。

あとは販売単価@200円を掛ければ、損益分岐点の売上高がわかる。

@200円×15個
=3,000円

したがって、

損益分岐点の売上高=3,000円

となる。



😸なぜ「貢献利益」が重要なのか

ここで重要なのが**「貢献利益」**である。

CASE 71では、

販売単価 @200円
変動費  @60円

なので、製品を1個販売すると、

@200円−@60円
=**@140円**

の貢献利益が生まれる。

この@140円が、まず固定費の回収に「貢献」する。

固定費は2,100円なので、

2,100円÷@140円
=15個

つまり15個販売すると、貢献利益の合計がちょうど固定費2,100円と一致する。

ここでは、

貢献利益2,100円−固定費2,100円=営業利益0円

となる。

これが損益分岐点である。

そして16個目からは、固定費をすでに回収しているため、さらに生じた貢献利益が営業利益につながっていく。



😸損益分岐点の売上高を計算しよう!……その②

その①では販売量をX(個)として計算した。

しかし、販売量を求めず、最初から**損益分岐点売上高をS(円)**として計算することもできる。

SはSales(売上高)の「S」である。

この方法では、まず**「変動費率」または「貢献利益率」**を計算する。

変動費率

変動費率とは、売上高に占める変動費の割合である。

変動費率=変動費÷売上高

CASE 71では、

60円÷200円=0.3

したがって変動費率は30%となる。

貢献利益率

貢献利益率とは、売上高に占める貢献利益の割合である。

貢献利益率=貢献利益÷売上高

CASE 71では、

(200円−60円)÷200円
=140円÷200円
=0.7

となる。

また、売上高から変動費を差し引いたものが貢献利益なので、

変動費率+貢献利益率=1

となる。

したがって、

1−0.3=0.7

として貢献利益率を求めてもよい。



😸売上高をSとして計算する

変動費率と貢献利益率は、生産・販売量にかかわらず一定である。

そのため、売上高をSとすれば、

変動費=0.3S

貢献利益=0.7S

と表すことができる。

損益分岐点では営業利益が0円なので、

0.7S−2,100=0

となる。

これを解くと、

0.7S=2,100

S=3,000円

となる。

したがって、

損益分岐点の売上高=3,000円

となった。

その①で販売量をXとして求めた3,000円と一致する。



😸CVPの公式

ここまでの計算を見ると、

0.7S=2,100

つまり、

貢献利益率×損益分岐点の売上高=固定費

となっている。

これを変形すると、

損益分岐点の売上高=固定費÷貢献利益率

となる。

これが損益分岐点の売上高を求めるCVPの公式である。

CASE 71なら、

2,100円÷0.7=3,000円

と、一発で損益分岐点の売上高を計算できる。



😸今回のポイント

今回のポイントは、

「固定費を回収するために、どれだけの貢献利益が必要なのか」

と考えることだと思う。

CASE 71では、売上高200円のうち変動費が60円。

残りの140円が貢献利益となり、固定費の回収に使われる。

そして15個販売すると、

@140円×15個=2,100円

となり、固定費2,100円をちょうど回収できる。

だから、

@200円×15個=3,000円

が損益分岐点の売上高になる。

そして売上高を直接使う場合には、

固定費÷貢献利益率

で同じ答えを求めることができる。

損益分岐点という言葉だけを見ると少し難しそうだが、

「固定費を貢献利益でちょうど回収できるところ」

と考えると、仕組みがかなりわかりやすくなった。

今回は損も利益も出ない売上高を求めた。

ここからさらに、「目標とする利益を得るにはいくら売ればよいのか」というCVP分析へとつながっていく。

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