武術家が学ぶ棚卸減耗|原価計算・簿記学習 #9
理論と現実は必ずしも一致しない──
何事も理論通りにはいかないのが現実だ。今回学んだ「棚卸減耗」という考え方もその処理方法といえる。
材料は購入し、保管し、製造に使用される。しかし実際の現場では、帳簿上の数量と実際に残っている数量が一致しないことがある。
例えば今回のケースでは、月末の材料元帳には木材が10枚残っていることになっていた。消費単価は1枚14円である。しかし実際に棚卸を行ったところ、残っていたのは8枚だった。
帳簿上の数量を「帳簿棚卸数量」、実際に数えた数量を「実地棚卸数量」という。
この場合、
帳簿棚卸数量10枚 − 実地棚卸数量8枚 = 2枚
となり、2枚分の材料が不足していることになる。
このように、帳簿上の数量と実際の数量との差額を「棚卸減耗」という。そして、その金額を「棚卸減耗費」という。
今回の棚卸減耗費は、
14円 × (10枚 − 8枚)= 28円
となる。
では、この28円はどのように処理するのだろうか。
まず、帳簿上では存在していた材料が実際には無くなっているため、材料という資産を減少させなければならない。
しかし重要なのは、その原因である。
材料の運搬中の破損や紛失、保管中の自然な劣化など、製造現場で通常発生する程度の減耗であれば、「正常な棚卸減耗」として扱う。この場合は製品を作るために避けられないコストと考え、製造間接費として処理する。
今回のケースは正常な棚卸減耗なので、製造間接費として処理することになる。
仕訳は次のようになる。
(借)製造間接費 28 (貸)材料 28
製造間接費が増加し、材料という資産が減少するわけだ。
一方で、盗難や火災などによって大量の材料が失われた場合は話が違う。そのような異常な損失は製品の製造活動とは直接関係がないため、原価には含めず「非原価項目」として処理する。
ただし、簿記2級の学習段階では、まず正常な棚卸減耗を製造間接費として処理する考え方を理解しておけば十分とのこと。
今回学んで感じたのは、「帳簿は現実そのものではない」ということである。
どれほど正確に記録していても、現実には破損や紛失、誤差が発生する。だからこそ定期的に実地棚卸を行い、帳簿と現実を照らし合わせる必要がある。
武術でも理論上の動きと実際の動きには差が生まれる。型では完璧でも、実戦では思わぬ癖や崩れが見つかる。だから自由組手を通じて理論と現実のズレを修正していく。
工業簿記の棚卸減耗も、それに少し似ているように感じた。数字の世界であっても、最後は現実を確認することが大切なのである。
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