武術家が学ぶ消費するということ|原価計算・簿記学習 #7
消費しても無くならない──?
工業簿記を学び始めてから、普段何気なく使っている言葉の意味が少し変わって見えるようになった。今回学んだのは「材料を消費する」という考え方だ。
日常生活で「消費した」と聞くと、使って無くなったというイメージを持つ。しかし工業簿記では、単に無くなったのではなく、「どこで使われたのか」を記録することが重要になる。
例えば、材料800円分を工場で使用したとする。そのうち700円は製品そのものになる直接材料であり、100円は接着剤や潤滑油のような間接材料だったとする。
この場合、材料倉庫に保管されていた材料は減少するため、材料勘定から金額を減らす処理を行う。しかし減った材料は消えたわけではない。別の場所へ移動したのである。
直接材料700円は、製品を作るために使われた材料なので、仕掛品勘定へ振り替える。仕掛品とは、まだ完成していない製品の原価を集める場所だ。つまり材料が製品へ姿を変え始めたと考えることができる。
一方、間接材料100円は製品を直接構成するわけではない。そのため仕掛品には入らず、製造間接費勘定へ振り替える。工場全体の運営に必要な費用として扱われるのである。
仕訳で表すと次のようになる。
(借方)仕掛品 700円
(借方)製造間接費 100円
(貸方)材料 800円
最初は「材料を使っただけなのに、なぜこんなに細かく分けるのだろう」と思った。しかし学習を進めるうちに、その理由が見えてきた。
原価計算では、どの製品にいくらの原価がかかったのかを正確に把握する必要がある。そのため、製品そのものになる直接材料と、工場全体を支える間接材料を区別しなければならないのである。
武術でも似たような考え方がある。
例えば稽古時間を使うとしても、その全てが直接的に技術向上へ繋がるわけではない。道場での稽古や組手は直接的な鍛錬かもしれない。一方で站樁(タントウ:立禅)などの一人稽古、体調管理や仕事や勉強などの日常生活は間接的な活動である。しかし、それらの質向上も上達には欠かせない。
工業簿記も同じである。材料を使ったという一つの出来事の中にも、直接的なものと間接的なものが存在する。そして、それぞれを適切な場所へ振り分けることで、初めて正確な原価が見えてくる。
今回学んだことで、工業簿記における「消費」とは単に無くなることではなく、価値が次の場所へ移動することなのだと感じた。
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