武術家が学ぶ材料を買うということ|原価計算・簿記学習 #6

単純な行為も奥深い──

工業簿記を学び始めると、「材料を購入する」という行為にも、きちんとした計算ルールがあることが分かってきた。

例えば今回学んだのは、木材10枚を1枚100円で購入し、代金は掛けとしたケースである。さらに、運送会社へ支払った引取運賃20円を現金で支払ったとする。

一見すると、木材代は1,000円だから材料費も1,000円に思える。しかし工業簿記ではそうならない。

材料を購入したときには、材料そのものの価額(会計上の金額)を購入代価という。そして運送費などの付随費用を材料副費という。

つまり材料の購入原価は、

購入原価 = 購入代価 + 付随費用(材料副費)

で求める。

今回のケースでは、

100円 × 10枚 + 20円 = 1,020円

となる。

つまり会社が実際に材料を手元へ持ってくるために必要だった金額は1,020円なので、材料の価値も1,020円として記録するのである。

仕訳は次のようになる。

(材料)1,020 (買掛金)1,000
       (現金)   20

材料勘定は資産である。材料を購入したことで会社が保有する資産が増えたため借方に記入する。

また、木材代1,000円は後払いなので買掛金となり、引取運賃20円はその場で支払ったため現金の減少として記録される。

学ぶ前は、運賃は単なる経費のような気がしていた。しかし考えてみれば、その運賃を払わなければ材料は工場に届かない。つまり材料を使える状態にするために必要な費用であり、材料の価値の一部として扱う方が自然なのだろう。

さらに今回は、材料を返品した場合の処理も学んだ。

例えば掛けで購入した材料のうち50円分を返品した場合は、購入時の記録を取り消すことになる。

仕訳は、

(買掛金)50 (材料)50

となる。

購入した材料が減るため材料勘定を減少させ、同時に支払う予定だった買掛金も減少させるのである。

武術でもそうだが、本質的な学習は「当たり前だと思っていたことを正確に観る訓練」なのかもしれない。

材料を買うという行為も、ただ物を手に入れるだけではない。運び、管理し、使える状態にするまで含めて初めて材料になる。

工業簿記は、そうした現実の流れを数字で表現する学問なのだと、少しずつ理解できるようになってきた。

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