固定費調整|50代の資格挑戦・学習記録 #77
利益の差は、在庫に残った固定費だった──
今回学んだのは、全部原価計算と直接原価計算の営業利益の差を調整する「固定費調整」である。
前回は、同じ生産・販売データから全部原価計算と直接原価計算、それぞれの損益計算書を作成した。
その結果、営業利益は、
全部原価計算:3,740円
直接原価計算:3,500円
となった。
同じ製品を作り、同じ数量を販売しているのに、なぜ営業利益が240円も違うのだろうか。
その理由は、固定製造原価の扱い方にある。
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😸営業利益の差額240円はどこから来た?
CASE 69では、
3,740円 − 3,500円 = 240円
と、全部原価計算の営業利益のほうが240円多くなっている。
実はこの240円は、全部原価計算における「期末製品に含まれる固定製造原価」と一致する。
当期に発生した固定製造原価は1,200円。
当期は50個を完成させ、そのうち40個を販売し、10個が期末製品として残っている。
したがって、製品1個あたりの固定製造原価は、
1,200円 ÷ 50個 = 24円
期末製品10個に含まれる固定製造原価は、
24円 × 10個 = 240円
となる。
この240円こそが、全部原価計算と直接原価計算の営業利益に差が生じた原因である。
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😸直接原価計算では固定製造原価を全額費用にする
直接原価計算では、当期に発生した固定製造原価1,200円を、当期の「固定費」として全額費用計上する。
つまり、製品を50個作って40個しか販売していなくても、
固定製造原価1,200円 → 全額を当期の費用
として扱う。
直接原価計算では、固定製造原価を製品原価には含めないからである。
そのためCASE 69の直接原価計算による損益計算書では、
売上高:8,000円
変動売上原価:2,000円
変動製造マージン:6,000円
変動販売費:400円
貢献利益:5,600円
固定費:2,100円
となり、
5,600円 − 2,100円 = 3,500円
が営業利益となった。
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😸全部原価計算では一部が期末製品に残る
一方、全部原価計算では固定製造原価も製品原価に含める。
当期に発生した固定製造原価1,200円のうち、当期に販売した40個分は、
1,200円 − 240円 = 960円
となる。
この960円は販売された製品に含まれているため、売上原価として当期の費用になる。
しかし、残りの240円は期末製品10個に含まれたままである。
つまり、
当期販売分:960円 → 当期の費用
期末製品分:240円 → 当期は費用にしない
ということになる。
この240円は在庫である期末製品の原価として翌期へ繰り越される。
そのため、全部原価計算では直接原価計算より当期の費用が240円少なくなり、その分だけ営業利益が240円多くなるのである。
全部原価計算の営業利益3,740円
= 直接原価計算の営業利益3,500円 + 240円
数字がきれいにつながった。
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😸固定費調整とは
このように、期首や期末に製品または仕掛品がある場合、全部原価計算と直接原価計算では固定製造原価を費用にするタイミングが異なる。
その結果、両者の営業利益も異なることがある。
そこで、直接原価計算の営業利益を全部原価計算の営業利益に一致させるため、製品や仕掛品に含まれる固定製造原価を調整する。
これが「固定費調整」である。
固定費調整は、次の式で行う。
全部原価計算の営業利益
= 直接原価計算の営業利益
+ 期末製品(仕掛品)に含まれる固定製造原価
− 期首製品(仕掛品)に含まれる固定製造原価
ポイントは、
期末は「+」、期首は「−」
ということである。
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😸なぜ期末は足して、期首は引くのか
ここは少しややこしいので、考え方を整理しておく。
直接原価計算では、固定製造原価を発生した期に全額費用としている。
しかし全部原価計算では、期末在庫に含まれる固定製造原価はまだ費用になっていない。
したがって、直接原価計算の利益から全部原価計算の利益へ直す場合には、期末在庫に残っている固定製造原価を利益に「足す」。
反対に、期首在庫に含まれている固定製造原価は、全部原価計算では当期に販売されることで当期の費用になる。
直接原価計算ではすでに前期の費用として処理されているため、当期の利益を全部原価計算に合わせるには、その固定製造原価を「引く」。
したがって、
期末は+、期首は−
となる。
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😸CASE 70の固定費調整
CASE 70では、
直接原価計算による営業利益:3,500円
期末製品に含まれる固定製造原価:240円
期首製品に含まれる固定製造原価:0円
である。
したがって、
3,500円 + 240円 − 0円
= 3,740円
となる。
これで、直接原価計算から求めた営業利益を、全部原価計算による営業利益3,740円に一致させることができた。
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😸今回のポイント
今回の固定費調整で重要なのは、全部原価計算と直接原価計算では「固定製造原価をいつ費用にするのか」が違うという点だった。
直接原価計算では、固定製造原価を発生した期に全額費用とする。
一方、全部原価計算では固定製造原価を製品原価に含めるため、売れずに在庫として残った製品に含まれる分は、翌期以降へ繰り越される。
だから期末在庫があると、その固定製造原価の分だけ営業利益に差が生じる。
そして、その差を調整するのが固定費調整である。
全部原価計算の営業利益
= 直接原価計算の営業利益
+ 期末在庫の固定製造原価
− 期首在庫の固定製造原価
CASE 70では、
3,500円 + 240円 − 0円 = 3,740円
となった。
前回は「なぜ同じ会社なのに営業利益が違うのか?」という疑問が残ったが、今回その理由がはっきりした。
固定費そのものが増えたり減ったりしたわけではない。
固定製造原価を「今期の費用にするのか、在庫として翌期へ繰り越すのか」というタイミングの違いが、利益の差として現れているのである。
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