問題 32|50代の資格挑戦・学習記録 #113

正常仕損が工程の始点で発生したら、完成品と月末仕掛品の両方に負担させる──

前回に引き続き、第9章「総合原価計算③」から、仕損・減損の処理についての問題に取り組む。

前回の問題31では、正常仕損が工程の途中で発生し、月末仕掛品がその発生点を通過していなかったため、正常仕損費をすべて完成品に負担させた。

今回は正常仕損が「工程の始点」で発生している。

つまり、完成品だけでなく月末仕掛品もすでに正常仕損の発生点を通過しているため、正常仕損費を完成品と月末仕掛品の両方に負担させることになる。

この違いを意識しながら解いていく。

問題 32 仕損・減損の処理

次の資料にもとづいて、平均法により①月末仕掛品原価、②完成品原価、③完成品単位原価を計算せよ。

正常仕損は工程の始点で発生しているため、正常仕損費は完成品と月末仕掛品の両者に負担させる(仕損の評価額は0円)。

[資料]

⑴ 生産データ

月初仕掛品 200個(70%)
当月投入 1,150個
合計 1,350個
正常仕損 50個
月末仕掛品 300個(40%)
完成品 1,000個

*1 直接材料はすべて第1工程の始点で投入される。
*2 ( )内は加工進捗度を示す。

⑵ 製造原価データ

直接材料費 加工費
月初仕掛品原価 6,950円 6,440円
当月製造費用 63,250円 21,560円

解答

今回のポイントは、正常仕損が「工程の始点」で発生していることだ。

正常仕損費は完成品と月末仕掛品の両者に負担させるため、正常仕損50個について独立した原価を計算するのではなく、月初仕掛品原価と当月製造費用の合計額を完成品と月末仕掛品に按分する。

直接材料費

まず、直接材料費の平均単価を求める。

直接材料は工程の始点ですべて投入されるため、月末仕掛品300個についても材料は100%投入済みとなる。

したがって、数量は

1,000個+300個=1,300個

となる。

直接材料費の平均単価は、

(6,950円+63,250円)÷(1,000個+300個)
=70,200円÷1,300個
=@54円

となる。

月末仕掛品の直接材料費は、

@54円×300個=16,200円

完成品の直接材料費は差額で求めると、

6,950円+63,250円−16,200円
=54,000円

となる。

加工費

次に加工費を計算する。

月末仕掛品300個の加工進捗度は40%なので、加工費の完成品換算量は、

300個×40%=120個

となる。

したがって、加工費の平均単価は、

(6,440円+21,560円)÷(1,000個+120個)
=28,000円÷1,120個
=@25円

となる。

月末仕掛品の加工費は、

@25円×120個=3,000円

完成品の加工費は差額で、

6,440円+21,560円−3,000円
=25,000円

となる。

① 月末仕掛品原価

直接材料費16,200円と加工費3,000円を合計する。

16,200円+3,000円
=19,200円

したがって、

① 月末仕掛品原価:19,200円

となる。

② 完成品原価

直接材料費54,000円と加工費25,000円を合計する。

54,000円+25,000円
=79,000円

したがって、

② 完成品原価:79,000円

となる。

③ 完成品単位原価

完成品原価79,000円を完成品数量1,000個で割る。

79,000円÷1,000個
=@79円

したがって、

③ 完成品単位原価:@79円

となる。

今回のポイント

今回、特に重要なのは「正常仕損がどこで発生したのか」という点だった。

正常仕損は工程の始点で発生している。

月末仕掛品も当然その発生点を通過しているため、正常仕損費は完成品だけではなく、月末仕掛品にも負担させる。

そのため、正常仕損50個を平均単価を計算するときの数量に加えず、

直接材料費なら、

1,000個+300個=1,300個

加工費なら、

1,000個+300個×40%=1,120個

で平均単価を計算する。

一見すると「仕損50個はどこへ行った?」と思ってしまうが、仕損にかかった原価そのものが消えたわけではない。

正常仕損費を完成品と月末仕掛品に負担させることで、それぞれの平均単価の中に含めているということになる。

前回の問題31では、正常仕損費を完成品だけに負担させた。

今回は、完成品と月末仕掛品の両方に負担させる。

仕損・減損の問題では、単に計算方法を覚えるだけでなく、

「仕損の発生点と月末仕掛品の進捗度を比較して、誰に正常仕損費を負担させるのかを判断する」

という考え方が重要になりそうだ。

今回の答えは、

① 月末仕掛品原価:19,200円
② 完成品原価:79,000円
③ 完成品単位原価:@79円

となった。

前回と今回の2問をセットで考えることで、正常仕損費の負担関係が少し整理できた気がする。

焦らず、一問ずつ理解を積み重ねていこう。

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