自然体を身につける
ssakamotoあなたは「自然体」だろうか？多くの人は、自然体とは何なのかを誤解したまま、その言葉だけを使っていることが多い。力を抜くこと、頑張らないこと、何もしないことが自然体だと思われがちだが、それは本質ではない。むしろそれは、準備不足や逃避を美化した姿に近い。
自然体とは、意識しなくても最適な反応が出てくる状態のことだ。世界をありのまま正しく感じ取り、考えすぎることなく、しかし粗雑にもならず、気と身体が一体となって動く。その状態は偶然生まれるものではないし、生まれつき備わっているものでもない。繰り返しの経験と鍛錬の積み重ねによって、後天的に身につけられるものだ。
例えば武術でも、初心者が力を抜こうとすると、ただ気が抜け、姿勢や形が崩れて張りが無くなり隙だらけになる。正しい姿勢、正確な動き、正しい脱力を何度も身体に刻み込んだ末に、ようやく「力が抜けているのに崩れない」状態が生まれる。自然体とは、力を使わないことではなく、無駄な力「だけ」が消えた状態なのだ。
日常生活でも同じだ。自然体で話せる人は、何も考えていないわけではない。相手の反応を感じ取り、言葉を選び、場の空気を読んだ上で、それらを意識に上らせずに行っている。だからこそ落ち着きがあり、信頼感がある。逆に自然体を装おうとするほど、不自然さは際立ってしまう。
自然体を身につけるために必要なのは、「自然であろう」とすることではない。基本を徹底し、自分の癖や弱さをごまかさず、地道に整え続けることだ。姿勢、呼吸、視線、判断の癖、感情の揺れ方。そうした一つひとつに向き合い、修正し続けた先に、結果として自然体が現れる。
自然体とはゴールではなく、積み重ねの副産物だ。無理に目指すほど遠ざかり、やるべきことをやり続けた人だけが、気づけばそれに成っている。だからこそ本物の自然体は静かで、強く、崩れにくい。自分を飾らず、しかし流されない。その芯のある在り方こそが、身につけるべき自然体といえる。
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