全身全霊全脳で遊ぶのが武術
お金も何も要らない遊び──
武術とは、戦いの技術にとどまらない。真に奥深い武術は、肉体だけでなく、精神、感情、知性なども総動員して行う「遊び」である。そう、武術とは、全身で、全霊で、そして全脳で遊ぶ行為といえる。
まず、身体は武術の基盤である。立つ、歩く、構える、受ける、打つ──あらゆる動作が、重力や反射、バランスとの対話によって繰り広げられる。筋肉の動きだけでなく、関節の可動域や、皮膚の感覚なども含めて、全身を使って瞬間を生きる。それは、まるで自然と一体になるような感覚だ。
次に、精神が試される。恐れ、緊張、慢心、焦り──あらゆる内的な波が技に影響を及ぼす。武術とは、自らの心の動きを観察し、整え、制する訓練でもある。相手と向き合うことで、自分自身と向き合う。その意味で、武術は最も過酷で、同時に最も自由な自己探求でもある。
そして、人間の知性をもって戦う。力任せではなく、理をもって動く。相手の動きを読み、意図を察し、先を取る。戦術・心理・構造・反応──すべてを瞬時に分析し、最適解を選び取る。これは、肉体の将棋であり、知性の舞踊でもある。思考の柔軟性と直感の鋭さが交わるとき、武術の醍醐味が生まれる。
だからこそ、武術は遊びでなければならない。遊びとは、自発性と創造性に満ちた営みである。命がけの真剣さを抱えながらも、心は軽やかであるべきだ。全身全霊全脳を動員しながら、どこかで楽しんでいる。余白を持ち、流れに委ね、瞬間に没入する。武術とは、命のリズムを感じる「魂の遊戯」なのだ。
それは勝敗ではなく、技の優劣でもない。生きていること──生命存在そのものを実感し、言祝ぎ伝える。それこそが、武術の本質なのかもしれない。
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(武術気功健康教室|大阪府四條畷市)