快適な滑らかさを得る
滑らかなのは気持ちいい。
動きの滑らかさは、武術の技術的な側面だけでなく、日常生活の質を高める重要な要素だ。この滑らかさは、身体の緊張と弛緩のバランスを整えることから始まる。特に站樁(タントウ:立禅)の実践では、全身の不必要な力みを取り除き、自然な姿勢を保つことで、本来の身体の機能を取り戻すことができる。
滑らかな動きを得るためには、まず姿勢を正すことが大切だ。正中軸(会陰と頭頂中心点を結んだ仮想の直線)を垂直に立て、極力長く伸ばすことで、姿勢を正すことができる。この時、特に肩や首、腰の周りの余計な力を抜くことを意識する。この時できれば完全に脱力し、緊張感は倒れてしまわない程度の、最低限に保つ。
日常生活における滑らかさは、意識的な実践から始まり、やがて無意識的なものとなっていく。例えば立って動かない際には、左右対称の姿勢をとり、拇指球(足の親指の付け根の膨らみ)に重心を乗せ、正中軸の垂直最長化を意識する。この立ち方を習慣化することで、自然と姿勢が改善され、動きが洗練されていく。
また、動作の滑らかさは精神的な安定にも直結する。焦りや不安、怒りなどの感情は、往々にして身体の硬直や不自然な動きを引き起こす。逆に、身体の動きが滑らかになることで、心も穏やかになり、より冷静な判断が可能となる。これは武術における「心技体」の一致にも通じる考え方だろう。
滑らかな動きを習得することは、単に見た目の美しさだけでなく、エネルギーの効率的な使用にも繋がる。無駄な力みを省くことで、より少ないエネルギーで効果的な動作が可能となり、疲労も軽減される。これは年齢を重ねても持続可能な、質の高い身体活動を実現する基礎となる。
制心道の実践者として、この滑らかさの獲得は重要な修練課題の一つといえる。それは単なる技術の向上だけでなく、より豊かな人生を送るための基盤となるものだからだ。日々の意識的な実践を通じて、徐々に身についていく滑らかさは、まさに心身の調和を体現するものといえるだろう。
=======
著作物紹介:
※kindle unlimited にご登録中の方は全て無料で読めます。(未登録の方は30日間無料体験を使えば無料で読めます)
空手家との組手や演武などの動画は下記サイトでご覧いただけます。
(武術気功健康教室|大阪府四條畷市)