あなたは間違っていない
人生の旅路において、我々は何度も自分自身を疑う。そして、自らの選択や行動が正しいのかと悩む。特に周囲の声が騒がしく、社会の期待が重くのしかかる時、自分の内なる声は小さくなりがちだ。しかし、あなたの心の奥底で感じるその直感、その痛み、その喜び──それらはすべてあなたが生きている証であり、決して間違いによるものではない。
武の世界では、長い修行の末に得られる境地がある。それは技や形を超えた、身体と精神が一体となる瞬間といえる。私が自衛瞑想を通じて伝えたいのもまさにこの感覚だ。1日30分の站樁(タントウ:立禅)を連続千日以上続けて気づいたことは、本当の強さとは真の自己を見失わないということだった。
世間では「正しい生き方」や「あるべき姿」が無言のプレッシャーとなって我々を縛りつける。しかし、あなたの人生はあなただけのものであり、その歩みに絶対的な正解などはない。道家思想も教えるように、自然の流れに逆らわず、自分の本質に忠実に生きることこそが真の道ともいえる。
挫折や失敗を経験した時、多くの人は「自分が間違っていた」と思い込む。しかし、それは単に一つの結果に過ぎず、あなたという存在自体が間違いであるということではない。武術の修行においても、本気でやっていれば必ず敗北や屈辱を味わう時がある。それは間違いではなく、ただ新たな気づきへの入り口なのだ。
我々は生まれてから今日まで、無数の選択をして今ここに立っている。その選択の一つひとつが、あなたという唯一無二の存在を形作っている。たとえ周囲からは理解されなくても、あなたの感じること、考えること、選ぶことには意味がある。それはあなたが真の自己に近づくか、あるいは遠ざかるかを決める。
人は孤独を恐れるあまり、自分を偽り、他者の期待に応えようとすることがある。しかし、そうして得た承認は一時的な安らぎをもたらすだけで、やがて魂の渇きとなって現れる。真の平和は、自分自身の中心に立ち返り、自分の声に耳を傾けることから始まる。これは自衛瞑想が目指す「真我との一致」の境地でもある。
あなたが今、何かに悩み、迷い、苦しんでいるなら、それはあなたが真の自己に近づいている証だ。その感情をそのまま受け入れてみよう。それらを否定する必要はない。あなたの感じることは、あなたにとっての真実であり、決して間違いではないからだ。
武術の修行で最も大切なのは、勝ち負けではなく、自分自身との対話である。相手と向き合う前に、まず自分と向き合うことから始まる。そして気づく──自分を信じることの力を。あなたの内側には、すでに答えがある。ただそれに気づき、耳を傾ける勇気が必要なだけなのだ。
人生は長い旅だ。時に道に迷い、時に立ち止まることもある。しかし、どんな道を選んだとしても、それがあなたの道であるなら、それは全て間違いではない。あなたは今この瞬間も、自分だけの人生を懸命に生きている。その姿は美しく、尊く、そして何よりもあなたにとって正しい。
だから今日も明日も、自信を持って前に進んでいこう。あなたの心が感じること、あなたの身体が覚えていること──それらを信じて。世界中の誰もがあなたを理解してくれなくても、少なくとも私はあなたに伝えたい。
「あなたは間違っていない」と。
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