武術、護身術、武道、格闘スポーツの違い

まず、基本的に武術と護身術は本質的には同じである。

すなわち、どちらもノールールで何が起こるか分からない暴力の危険に直面した際、自らの身の安全を確保するための技術ということだ。

ゆえに武術と護身術の基本は、目突き・金的狙いを完璧に防御することにある。(なお中国武術の奥義書には、目突き・金的狙いが奥義と書いてあった記憶がある)

ここが武道や格闘スポーツと全く違うところであり、やっていることの見た目は似ているが、実は真逆なのである。

格闘スポーツにおいては急所狙いは反則であり、試合に勝ちたければ急所狙いやその防御を練習するのは無駄といえる。

現代武道は格闘スポーツ化したものが多く、武術的な性質を残しているものはほとんどない。

武道と格闘スポーツを分けるのは、精神性を重んじるかどうかであり、格闘スポーツは勝利至上主義であるが、武道の目的は人格陶冶(とうや:円満に育て上げること)などにある。

なお武術には試合は必要ないが、組手は必要である。

なぜなら組手で使えない技が実戦で使えるはずがないからで、術の練度の検証をしなければいけないからだ。

ルールを設定した試合は、どうしても実戦の本質から遠ざかってしまう。

実戦武術の訓練には組手でも十分ということはないが、まずは自由組手で攻防一致の真技を使いこなせるようにならなければ、短刀取りや多人数掛けなどは時期尚早なのである。

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