上手くて強いを目指す
強いだけでは足りない。上手いだけでも足りない。本当に目指すべきは、「上手くて強い」という境地である。
強さとは、力で押し切ること、勝つこと、負けないこと──それらを含む概念だが、粗雑で無骨な強さだけでは、いつか限界が来る。技の冴えがなければ、速さや力に頼るだけの戦いになる。年齢を重ねれば身体能力は落ち、若さの特権にすがることはできなくなる。だからこそ、上手さが必要だ。
上手さとは、無駄のない動き、洗練された所作、状況を読む目、タイミングを計る勘、相手の力を利用する知恵──そうした総合的な熟練の現れだ。だが、上手いだけで強くなれるかといえば、そうではない。どれほど技巧に優れていても、土壇場で踏ん張れなければ、意志が弱ければ、恐れに負けてしまえば、それは実戦では通用しない。
だから、「上手くて強い」を目指す。それは精神・技術・体力の三つを調和させ、高めていく道である。雑さを捨て、丁寧に技を磨き、同時に泥臭い鍛錬にも耐える。「美しさ」と「逞しさ」を両立させる覚悟がいる。優しさの中に芯があり、力の中に繊細さがある。そんな人物こそ、本物の強者であり、誰からも信頼され、尊敬される存在となる。
力で圧するのではなく、技で封じ、心で制する。暴力ではなく、品格をもって勝つ。それが「上手くて強い」という理想であり、一朝一夕ではたどり着けない道だ。だからこそ価値がある。目指すにふさわしい、高く険しい頂である。
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(武術気功健康教室|大阪府四條畷市)