人体は一番身近な大自然
山や海、森や空といった外界の風景が自然か──たしかに我々は、雄大な山々の姿に心を打たれ、夜空の星々に神秘を感じる。しかし、実のところ、最も身近にして最も神秘的な自然は、自らの内にある。そう、人体こそが一番身近な「大自然」なのだ。
人間の身体は、宇宙と同じ原理でできている。脳の神経回路は銀河の構造と酷似し、血液は川のように流れ、細胞は星のように瞬き、絶えず生まれ変わっている。呼吸ひとつとっても、吐く息と吸う息が大気との循環を生み出し、外界との一体感を保っている。我々はただ「自然と共に生きている」のではない。我々自身が自然の一部であり、自然そのものとして存在している。
心臓は休むことなく脈打ち、肺は空気を取り入れては吐き出し、内臓は絶妙なバランスで食物を分解し、栄養を吸収している。この奇跡的に見事な調和は、意識せずとも絶え間なく続いている。山が静かに存在し、風が気ままに吹くように、我々の身体もまた、自然の法則に従って機能している。人工物では決して再現できないその完璧な仕組みは、大自然そのものの叡智と呼ぶべきものだろう。
そして忘れてはならないのは、心もまた自然の一部であるということ。感情は天候のように移り変わり、思考は雲のように浮かんでは消えていく。無理に抑え込めば台風のように荒れ狂い、受け入れて流せば、やがて晴れ間が見えてくる。心身のリズムは、季節の移ろいと同じように波を描きながら整っていくのだ。
つまり、我々は自分の身体を通して、日々「自然」と向き合っている。健康を保つとは、すなわち内なる自然を調和させること。自然に耳を傾け、身体の声に敏感であれば、外の自然との調和も自ずと生まれてくる。
我々は大自然の中に生き、大自然の一部として在る。そしてその最も身近な姿こそが、自らの肉体なのだ。自然とつながるとは、外の風景を眺めることではなく、自分という自然を見つめることから始まるのである。
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