「戦わない」と「戦えない」には天と地の差がある
ssakamotoこれは単なる言葉の違いではない。生き方そのものの違いだ。「戦わない」は主体的な選択であり、「戦えない」は無力さからくる消極的な状態である。
真に強い者は、戦う力を持ちながらも、それをあえて行使しない。その背後には、己を律するだけの精神力と、必要であればいつでも立ち上がれるだけの準備と覚悟がある。つまり「戦わない」者は、選択肢を持ったうえでの平和を望んでいる。これは、単なる理想論ではない。打ち負かす力を備えながら、それを使わずに済ませる人間──その存在こそが、真の平和の担い手となる。
一方、「戦えない」者は、望むと望まざるとにかかわらず、自分の意思で状況を変えることができない。弱さや恐れ、あるいは知識や経験の不足が、それを阻んでいる。表面的には争いを避けているように見えても、その実態は選択の余地すらない従属の姿勢に過ぎない。これは、誰かにとって都合のいい存在になる危険すら孕んでいる。
そして、人は自らが「戦える存在である」ことを、日々の鍛練や内面の成長によって証明していく必要がある。力を持ちつつも、それを振り回さない勇気と自制。そこに初めて、「戦わない」という選択の重みが生まれる。
だからこそ、「戦わない」という姿勢は、決して逃避でも妥協でもない。それは、己の力を理解した者にしかできない、高次の判断なのだ。これと「戦えない」という無力な状態を混同してはならない。この違いを見極められるかどうかが、人としての成熟を分ける。
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