ラクして儲ける系は勧めない理由
「AIで自動化して稼ぐ」
「寝ながら月100万」
「誰でも簡単に稼げる」 ──
このような甘い言葉で誘う情報商材やビジネスモデルを目にしたことがある方は多いだろう。特にインターネットの普及により、こうした「ラクして儲ける系」の勧誘は一層身近になった。しかし、このような甘い誘いには必ず落とし穴がある。本稿では、「ラクして儲ける系」を勧めない根本的な理由についてお伝えする。
まず第一に、経済活動の本質を考えると、価値の創出なくして対価は生まれないという事実がある。ビジネスの基本は、人々が必要とするものやサービスを提供し、その対価として報酬を得ることだ。つまり、社会に価値を提供せずして持続的な収入は得られないのである。「ラクして儲ける」という概念は、この基本原則を無視しており、長期的に見れば破綻するシステムでしかない。
第二に、「ラクして儲かる」と宣伝されるものの多くは、実際には誰かを犠牲にする仕組みであることが多い。例えば、マルチ商法やねずみ講のような仕組みは、後から参加する人たちの損失の上に成り立っている。また、詐欺的な情報商材は、夢を売りつけるだけで実質的な価値を提供しないため、購入者が損をするだけの結果となる。持続可能なビジネスモデルでは、全ての関係者がwin-winの関係になることが理想だが、「ラクして儲ける系」では往々にして一方的な搾取が行われている。
第三に、真に価値あるスキルや知識の習得には時間と努力が必要とされる。専門性の高い仕事、創造性を要する仕事、人との信頼関係を築く仕事など、社会から高く評価される仕事には、相応の学習と経験の蓄積が求められる。「ラクして儲ける」方法を追い求めるあまり、本来身につけるべき能力開発の機会を逃してしまうことは、長期的なキャリア形成の観点からも大きな損失といえるだろう。
第四に、心理的な充実感や達成感の欠如も問題といえる。人間は本来、挑戦し、困難を乗り越え、成長することに喜びを見出す生き物である。努力せずに得た報酬には、達成感や自己成長の実感が伴わない。「ラクして儲ける」ことに成功したとしても、その過程で得られる人間的な成長や充実感は得られず、空虚さを感じることになるだろう。真の豊かさとは金銭的なものだけではなく、人生における充実感や成長実感も含まれるからだ。
第五に、「ラクして儲ける系」の多くは、現実離れした期待値を煽ることで人を引き込んでいる。「誰でも簡単に」「短期間で」「確実に」といった言葉で修飾された収入の約束は、ほとんどの場合、現実とはかけ離れている。このような非現実的な期待を抱くことは、将来的な失望や挫折感につながりかねない。また、一時的な成功体験を得たとしても、それが持続的なものになる保証はなく、多くの場合、一過性の出来事に終わってしまう。
さらに、「ラクして儲ける」方法に走る心理の背景には、往々にして金銭至上主義的な価値観が見受けられる。しかし、人生の豊かさは経済的な豊かさだけで測れるものではない。心身の健康、家族や友人との関係、自己実現、社会貢献など、お金では買えない価値も人生には存在する。経済的な成功だけを追い求めるあまり、これらの価値を犠牲にしてしまっては本末転倒だ。
また、「ラクして儲ける系」の多くは、短期的な視点に立っている。しかし、持続可能なキャリアや事業を構築するためには、長期的な視点が不可欠だ。短期的な利益を追求するあまり、長期的な信用や信頼関係を損なうことは、最終的には大きな損失につながる。ビジネスの世界では、一時的な成功よりも、長期にわたって価値を提供し続けられる能力が重要なのだ。
「ラクして儲ける系」が広がる背景には、現代社会の競争の激化や将来への不安があるのかもしれない。しかし、そうした不安に対する解決策は、近道や魔法の杖ではなく、着実なスキルの習得と価値創造の努力にある。確かに、テクノロジーの進化により、過去に比べて効率的に価値を生み出せるようになった分野はあるが、それでもなお、価値創造の根本原則は変わっていない。
結論として、「ラクして儲ける系」を勧めない最大の理由は、それが持続可能でないことと、真の意味での充実や成長につながらないことにある。真に豊かな人生を築くためには、社会に価値を提供する喜びを知り、その過程で自らも成長していくという姿勢が大切だ。一時的な楽さや手軽さに惑わされず、長期的な視点で自分の能力を磨き、社会に貢献できる道を模索することこそが、結果的には最も「楽」で「儲け続けられる」道なのだといえるだろう。
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