逆境を楽しむ覚悟

あなたも、逆境は避けられない。それは自然の摂理であり、人間の成長に不可欠な要素でもある。しかし多くの人は逆境を恐れ、否定し、回避しようとする。そこにこそ苦しみの根源がある。真の強さとは逆境そのものを楽しむ覚悟を持つことにあるのかもしれない。

古来より武術の達人たちは厳しい修行を通じて心身を鍛え上げてきた。彼らが求めたのは単なる技術の修得ではなく、いかなる状況にも動じない不動心の獲得だった。站樁(タントウ:立禅)のような静止した姿勢を長時間保つ修行は、心身を最適化するための自己内対話であり、その過程で心が鍛えられていく。痛みや不快感を拒絶するのではなく、それらを観察し、受け入れ、最終的には楽しむ境地に至るのだ。

道家思想では「無為自然」という概念がある。これは何もしないという意味ではなく、自然の流れに逆らわず、あるがままを受け入れる姿勢を指す。逆境もまた自然の一部であり、それに抗うことで我々はさらなる苦しみを生み出してしまう。逆に、逆境を受け容れ、その中に学びや成長の機会を見出すとき、我々は真の自由を得る。

武士道においても「堪忍」が重要な徳目とされてきた。これは単に耐えることではなく、困難を通じて自己を磨く積極的な態度である。剣の道でいえば、厳しい稽古や敗北の経験こそが、より高みへと導く貴重な糧となる。敗北から逃げず、それを師として受け容れる者だけが、真の勝利者となれる。

現代社会では「快適さ」や「効率」が追求され、不快な体験は回避すべきものとされがちだ。しかしそれは人間から成長の機会を奪い、精神的な脆弱さを生み出す。自衛瞑想の修行者は、あえて不快や困難、最悪を想定し、それを乗り越えるための準備を楽しむ。毎日の武術瞑想の実践は、身体の重みや痛みとの対話であり、心の動揺や逃避願望との戦いでもある。

制心とは心を抑え込むことではなく、心を自在に制御する力を得ることだ。逆境の中でこそ、心の動きが明確になり、それを制する技術が磨かれていく。集中力とは、困難な状況下でも心を一点に保つ能力であり、それは日常の小さな逆境を楽しむ習慣から養われていく。

真の強さとは、困難を避けることでも、ただ耐えることでもない。それは逆境の中にこそ生きる喜びと成長の機会があると知り、それを心から楽しむ覚悟を持つことだ。制心道の修行は、この覚悟を身につけるための道であり、それは単なる武術の枠を超えた人生の哲学となり得る。

人は逆境を避けるために多くのエネルギーを消費する。しかし逆境を楽しむ覚悟を持つとき、そのエネルギーは創造と成長へと向けられる。日々の修行の実践は、小さな逆境への挑戦であり、その積み重ねが大きな試練に対する心構えを形成していく。

自衛瞑想が目指すのは、単なる護身術ではなく、人生というより大きな戦いに勝利するための心の技術である。逆境を楽しむ覚悟は、武術の域を超え、人間としての生き方そのものを豊かにする智慧となる。そして、この覚悟こそが、混迷の時代を生きる我々にとって、最も価値ある武器となるのではないだろうか。

逆境を恐れず、逆境に学び、逆境を楽しむ。その境地に至ったとき、人生のあらゆる瞬間が修行となり、喜びとなる。それが真の制心であり、道を窮める旅を往く者の理想なのだ。

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