誰でもできる事を誰でもはできないレベルまで高める
武術の世界において、最も重要な基本動作は誰にでもできる単純な動きである。しかし、その単純な動きを極限まで磨き上げることこそが、真の強さを生み出す秘訣となる。
たとえば、站樁(タントウ:立禅)という行法は、ただ立っているだけという、一見すると極めて単純なものだ。幼児でさえ立つことはできるが、正しい姿勢で30分間動かずに立ち続けることは、多くの武術家でさえ困難を感じる修行となる。この「立つ」という誰もができる動作を、意識的な脱力と正確な姿勢、そして深い精神的集中を伴って行い、習慣化することで、並外れた攻防一致技と精神力を養うことができる。
実戦武術において、このような基本に徹する姿勢は極めて重要視されている。日常的な動作である歩行や座る動作、立ち上がる動作なども、意識的に行うことで強力な修行となる。これらの動作を特別な修行として捉えるのではなく、生活の中で意識的に実践することで、日常の全てが修行の場となり得る。
このような考え方は、武術の修行に限らず、人生のあらゆる場面に適用できる。たとえば、挨拶や返事、掃除や整理整頓といった、誰もが日常的に行っている行為も、意識的に極めていくことで、非凡な結果を生み出すことができるだろう。
重要なのは、特別なことをするのではなく、普通のことを特別なレベルまで高めることだ。これは一朝一夕には達成できないが、日々の積み重ねによって、確実に実現できる目標といえる。そして、この過程で培われる集中力と持続力は、人生における真の強さとなって現れるはずだ。
誰にでもできることを極めるという姿勢は、謙虚さと向上心の両方を必要とする。基本を軽視せず、地道な努力を重ねる中で、我々は真の成長を遂げることができる。これこそが、私が目指す「制心」、すなわち心身の制御と完全なる集中の境地といえる。
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(武術気功健康教室|大阪府四條畷市)