普通の生活という奇跡
朝目覚めて支度をし、仕事へ向かい、誰かと言葉を交わす。帰宅して、テレビを見たり、風呂に入ったり、布団にくるまって眠る。そんな一連の営みを、「普通の生活」と呼んでいる。けれど、それがどれほどの幸運の上に成り立っているのかを、我々は忘れがちだ。
生きていることそのものが、まず奇跡の積み重ねだ。無数の細胞と細胞内の物質が秩序正しく働き、心臓が止まらず、呼吸が続いている。家があること、水が出ること、食料があること、そしてそれを手に入れられる環境があること。これらすべてが、歴史、社会、他人の労働、そして目に見えない安定の連鎖によって支えられている。
戦争や災害、事故や病気――少し条件が変われば、我々の「普通」は簡単に崩れる。世界には、今日食べるものがあるかもわからず、眠る場所すら確保できない人が大勢いる。過去を振り返れば、当たり前だと思っていた日々が、一瞬にして失われた事例などいくらでもある。それでも、我々はつい「これが当たり前」と思ってしまう。
けれど、普通の生活ほど尊いものはない。何も起こらない一日が、何事もなく過ぎる夜が、どれだけ貴重か。刺激がない、変化がないと嘆く前に、何も奪われていないことの奇跡に目を向けたい。生きていること、誰かと笑えること、静かに夜を迎えられること。そのすべてに、深い意味と価値がある。
「普通の生活」を守ることは、簡単なことではない。それを当然とせず、感謝を忘れずにいれば、きっと心の奥底に小さな光が灯る。その光こそが、人生をじんわりと照らし、希望をつないでくれるのだ。
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(武術気功健康教室|大阪府四條畷市)