ライフワークの重要性
人生にはさまざまな時期がある。その中で人は仕事に追われ、家庭に気を配り、社会の中で役割を果たそうと努める。しかし、そうした日々の営みの中に、時間やお金の見返りを求めるわけではない、もっと深い動機に支えられた活動がひとつでもあるならば、それは人の人生を内側から支える「ライフワーク」になり得る。
ライフワークとは、単なる趣味や余暇の楽しみとは異なる。たとえば、絵を描くこと、詩を書くこと、人を助けること、自然の中で静かに過ごすこと、歴史を調べること、あるいは子どもたちに何かを伝えること。そうした営みの中には、その人自身の存在の核と響き合う何かがある。それは、他人の評価や成果とは切り離され、自分の「本質」から自然に湧き出てくる衝動に近い。
このような活動を持つことは、人生において非常に重要である。なぜなら、ライフワークは人にとって「生きる意味」を明確にし、どれほど苦しい日常の中にあっても、自分自身とのつながりを保ち続けるための灯火になるからだ。たとえ目立たず、誰にも理解されず、成果らしきものが形にならなくても、本人にとっては「やらずにはいられないこと」であり、それを通してしか味わえない静かな充実がある。
また、ライフワークは人生のさまざまな局面において、深い安定をもたらす。人は年齢を重ねるにつれ、体力や社会的な役割が変化し、ときに喪失や孤独に向き合うことになる。しかし、もし人生のどこかで見出したライフワークを大切に育んできたなら、そうした変化に翻弄されることなく、内的な豊かさを保ち続けることができる。そしてその活動はやがて、他者に対するささやかな贈り物ともなり得る。自分が本当に打ち込んでいることは、言葉ではなく存在そのもので、人に伝わる。
ライフワークを持つことに、早すぎるということはないし、遅すぎるということもない。それは肩書きでも資格でもない。ただ、自分の中にある「これは自分の道かもしれない」というかすかな声に耳を澄ませ、少しずつでもその方向に手を伸ばしてみることから始まる。たとえ日々の忙しさの中で埋もれてしまっていても、その声は消えてはいない。そして、心の奥でそれを見つけたとき、人は人生をただ「生き抜く」存在から、「生きる意味を知る」存在へと変わっていく。ライフワークとは、そのような変容の種であり、静かに芽吹く、魂の使命なのである。
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