「制心」に込めた二つの意味

「心」を制する者は全てを制する

「制心」の「心」には二つの意味がある。

一つは「中心」や「重心」という物理的な意味。

もう一つはそのまま「こころ」の意味。

物理的な制心には、一人で立っている時の「絶対制心」と、他者の重心を制する「相対制心」がある。

正中制心(站樁/立禅)は「絶対制心訓練」であり、その形から「正中無動制心」と言える。

「相対制心」を瞬間的にかけられるようになれば、あらゆる打撃を無効化できる。

実戦武術においては、絶対制心力を站樁(立禅)などの一人稽古で高め、推手や組手などで相対制心力を高めることが、最も合理的な上達の道である。

練習仲間と不必要に痛めつけあったり、一時の勝敗にこだわる必要はない。

站樁の習慣化にも「制心力」が要る

「こころ」を制する訓練は、集中力を高めてくれる。

站樁(タントウ)を続けるためには、怠けたい心を制さなければならない。

この訓練を繰り返すことで、長期的な集中力が養われる。

この長期的集中力は、人生のあらゆる局面で役立つものである。

月並みではあるが「継続は力なり」は真実だからだ。

制心とは、実戦的な格闘能力を高めながら、心の制御能力も高めてくれるものなのである。

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